プラス思考
いきなりだがソクラテスの有名な「無知の知」の話。
「彼らは、私と同じだ、善美について知らない。 ただ、彼らはそれを知らないのに知っているつもりでいる、私は知っているとは思っていない。そこが、違いだ。」
彼らとは、当時のギリシャの知識層の人たち。
ソクラテスは無知であることをその知識層に訪ね歩き、この結論にいたった。
この話は、一般的には 「謙虚に他人の話にも傾聴せよ」という教訓として理解されている。しかし見方を変えれば、自分自身について客観的にみることのできる人とできない人がいて、できる人だけが真理を追求できるということを教えているのではないか。
私の話で恐縮だが、先日自分の思うような稽古ができず、帰り道、心が沈んだ。
つくづく剣道下手だなあと。
その時ふとこのソクラテスのことが浮かんだ。
人は調子のいい時はなかなか自分を顧みないものだ。
ところが、調子を崩すとなぜうまくいかないかさんざん悩む。実はこの時こそ本気で自分自身と向き合う絶好の機会なのだ。 ソクラテス流に言えば、剣道の真理を追求できる資格を得たことになる。
稽古がうまくいかないことは、決してマイナスのことばかりではない。
今ある剣道を更なる高みに変化させていくためには、むしろ必要な時間だ。あとで考えればプラスの面のほうが多い。悲観せず「プラス思考」で考えることが何より大切だ。
格言にもあるではないか。調子のいいときこそ自分を見つめ、悪いときこそありがたいと思え。
「打って反省打たれて感謝」だ。
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