八島秀一君のこと

 8月30日が近づいてくると八島秀一君のことを思い出す。木曜会にはなくてはならない友人だった。今でも彼との別れは悔やまれてならない。


  彼との思い出はたくさんある。木曜会だけではなくいろいろなところでよく一緒に稽古したし、OB会での帰り二次会でよく酒を飲んだ。

そんな中でも一つ印象に残っている思い出がある。


  夜の稽古に行くと、秀一君が来ていてすでに道場に座っている。「ヨウ」といつものように挨拶すると、ニヤッと笑って話しだした。

「お前のような剣道中毒のことを英語で何というかわかるか?」
ちょっと考えたが、わからないと答えると、得意げににやにやしながら「adictionって言うんだ」と言った。
私は英語の授業か何かで、〇〇中毒というのが出てきて、急に私のことを思い出したのだろうと思いながら、中毒と私と剣道の共通点を思い浮かべた彼におかしくて笑って返した。

その時の笑顔が忘れられない。


  ただこれだけの思い出である。
しかし、英語の教師として誠実に生徒向き合っていた彼は、剣道のこと友人のことをとても大切にしていた。そんな彼が授業で私のことを思い浮かべてくれたかと思うと今は大切な思い出である。

 夏がくるとまたあの時のこと思い出す。