ェッ!「蹲踞」からすること?

木曜会では、学生と稽古する機会が多い。

下は小学生から中学生、高校生、時には大学生と稽古できる稽古会はなかなかない。ありがたいことだと思っている。


剣道では、上位者が下位者に稽古の感想をのべる伝統がある。感想は、良かった点、悪かった点、またこうした方がいいなどの助言である。

私もそういうアドバイスをする機会があるが、学生によくするアドバイスに「誰でもできることは必ずやりなさい」というのが多い。

早く打つ、うまく打つことは、個人差がありできる人もいればできない人もいる。しかし、相手と気持ちを合わせて礼をする。打突したあとは相手よりも先に構えるといったことは、心がければだれでもできることである。

「蹲踞から立ち上がったら一歩前」にでるという教えも心がければだれでもできる教えである。


当たり前すぎて今更こんな教えかと怒られそうだが、実はこれも心がけていないと、つい思わぬ行動をしてしまうものだ。

試合や昇段審査などの緊張した場面では、人はつい右に回ったり、下がったりしてしまう。

実際私も七段審査を受審する数日前の模擬立会で失敗したことがある。


その立会は、いつも指導いただいている吉崎先生に批評していただいた時である。お相手は会川君。

蹲踞から立ち上がり、ふと攻め気を感じた。「あっ」と思った瞬間にはすでに右に回ってしまっていた。気魄に押されて動揺したからだと思う。

後で、先生より「蹲踞から立ち上がって第一歩が右にまわっている」と指摘された。


数日後の七段審査はこんな失敗もせず無事やり遂げられたが、審査直前まで情けなくて恥ずかしい思いでいっぱいだった。


日頃できると思っていることでも、緊張した場では、いつもとは違う行動をしてしまう。肝に銘じて、そうならないよう繰り返し意識して稽古するようにしている。


みなさんも私のようにならないよう事前確認を忘れずに。